彼と私の事情
「終わりました…。」

ここ1ヶ月のせいで荒れてる肌をごまかし、
少しおしゃれをして立川さんの横に並んだ。

洗濯は諦めよう…。

「…いくか。」

私の頭をぽんぽんして玄関に向かう彼。

なんなんだ。私ばかり赤くなってる気がする。

「あ、そうだ。」

振り向いて彼がなにを言うのかと思ったら、

「そういう淡い色の服の方が似合ってる。」

眼鏡の奥で…笑った。

さきに彼が玄関から出ていったものの、

笑ったことや、褒められたことで動けずに突っ立って追いかけられない。

やっとの思いでバタバタ靴を履いて外に出た。

心が少し慌ただしい。
久しぶりの感覚にむず痒さを感じながら
車の助手席に乗り込んだ。

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