ハートブレイカー
「ママぁ」
「うん」

早くおうちに入りたいよね、うん。分かってる。

顔は見てないけど、自分の「発想」にニタニタしてそうな岸本さんを無視して、鍵を・・・開けた!
そのとき岸本さんが私に手を伸ばしてきた。

い、いやっ!!

私は咄嗟によけて、両目をギュウッとつぶった。
直哉をつかむ手に力がこもる。
でも直哉は何も言わなかった。

「辰夫さんっ!!」
「あ、明美っ!?」

明美さんって・・・岸本さんの奥さんが愛人か、そういう人だよね、確か。

恐る恐る私が目を開けると、女の人が立っていた。
「明美さん」に滅多に会わないのは、この人が夜のお仕事をしているからだとすぐ分かった。
けばいと言えるほど濃い化粧、派手な服。
顔は美人の部類に入ると思う。
それとも化粧栄えしてるのかもしれない。

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