ハートブレイカー
「だったら、その子に直接聞こうか。君、名前は?」

私は彼を見据えたまま、咄嗟に直哉を後ろ手で抱きしめた。

「ぼく・・・しらないひととしゃべっちゃだめっていわれてるから・ ・・」
「そうか。それは尤もな心がけだ。しかし坊主」

ぼ、坊主・・・。

「俺とおまえの顔はそっくりだと思わないか?」

やばい!!

確かに直哉は、目の前にいる彼に激似で・・・。
直哉は父親である彼のミニチュア版と言ってもいいくらいで・・・。

「隠れておかないと」と言う気持ちと、「見たい」という気持ちが 直哉の中で、一応せめぎ合ったと思う。
でもそれは1秒で「見たい」が勝ったようだ。
直哉は私にしがみついたまま、ヒョコッと顔を出すと、海堂さんの顔を見た、らしい。

「わ。ほんとだ。ぼくににてる!」
「直哉っ!」
「違うな。おまえが俺に似たんだ。なんでかわかるか?」
「ちょ、かいど・・・」

やめて!

「ううん、わかんない」
「なぜなら直哉。おまえは俺の・・・」

「それ以上言わないで!」


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