会社で恋しちゃダメですか?



ホームーページの口コミは上々だ。営業部の努力もあって、徐々に皮膚科を中心とした病院、それから薬局を中心に、サンプルを置かせてもらえるようになってきた。


「クレームはきてるか?」
「流通が少なく手に入りづらいことへの不満が大多数です」
「それは予測範囲内だ。このままいこう。生産部」
「はい」
「新工場の稼働はいつごろできる?」
「二ヶ月後を目標に、急ピッチで準備しています。今週半ばに、新しい人員の面接があります」
「わかった」


定例のプロジェクト会議。時間は就業時間後になる。園子は出席者のために、コーヒーを入れようと思い立った。ポットを持って会議室を出ると、シンと静かなオフィスフロア。園子は、先日のことが気になって、足がすくんでしまう。けれど、仕事のためだ、仕方ない。


薄暗い廊下に思い切って足を踏み出した。すると「園子」と後ろから朋生がおいかけてきた。「一緒にいくよ」


園子はほっとして、肩の力が抜ける。


「いいの?」
「部長が休憩挟むって」


見ると、オフィスからぱらぱらと社員が廊下へとでてきた。


「気を使わせちゃったみたい」
園子は申し訳ない気持ちになった。山科が気を利かせてくれたのだ。


朋生はにこっと笑うと、園子とともに給湯室へと歩いた。


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