ずっと隣で・・・

溢れる思い

私たちは別々のベッドに腰掛けた。
「大丈夫か?」
「え?」
「あの感じじゃ、お前の元彼…まだ、未練たらたらだよな」
弦にもわかっちゃったんだ・・・
「ごめんね・・・また迷惑かけちゃったね」
ずっと弦にばかり迷惑をかけているのにごめんねとしか
言えない自分が情けなかった。
「俺はいいんだ。ただ千鶴は・・・・アイツとやり直したいの?」
私は慌てて首を横に振った。

あの時・・・英斗に声をかけられた時

…嫌だ。

本気でそう思った。

ちょっと前まで彼が全てだったはずだったのに、どうしてここまで
英斗を拒絶してしまうのだろうと思った。

もし、京都駅で弦と再会していなければ
私は資料室で再会した時、自分から英斗に歩み寄ってたのかもしれない。
でも再会してわかった。
彼の浮気を許すとか許さないというレベルじゃなくなっていた。

私が弦と再会してしまった事が彼を拒絶させたんだ。

嫌いで別れたのではない。

私の心の奥底に眠っていた弦への思いが
弦と再会したことで蘇ってしまった。
そう・・私の気持ちが英斗から弦に完全に移ってしまったんだ。
でも・・・弦への気持ちを口にすることは出来なかった。
真っすぐに弦の顔を見れなくて自分の足元をじっと見つめる。

「 俺・・・・お前への気持ち変わってないから・・・・」

弦の告白に私は顔を上げた。

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