不機嫌プロポーズ(仮)





その話を聞いたその日の夜、わたしは彼の前で何気なく昔話を始める




『ねぇ、わたしとあなたが初めて会った時のこと覚えてる?』




『お前が転校してきた時のことか?そうだな、お前は本当にあの時からどうしようもなく…』




そこで自分の失言に気付いた彼は動きを止め、パタッと固まってしまった




バカめが




わたしと君が初めて口を交したのは小学校6年の席替えのとき




それ以前はわたしと君に接点はまったくなかった




『へぇ~…、君ってわたしのことそんな昔から知ってたんだね』




『ばっ!!お前、それは…その…お前があまりにもブスすぎて記憶に残っていたというか…』




顔を赤くさせ、必死に言い訳を探す彼がどうしようもなく愛しくなって、わたしは笑ってしまった





『はいはい、どうせわたしは可愛くないですよーだ』





小学校のときの初恋をこじらせて、こんなわたしに恋をし続けた彼はいったい今、どんな想いなのだろうか




とりあえずわたしから言えることは、もう少しだけ素直になってくれてもいいんじゃないかなって…




まぁ、無理そうだけどね







END





< 19 / 28 >

この作品をシェア

pagetop