課長の独占欲が強すぎです。

「ごめんなさい……」

 食事を再会させる気力を失い、手に持っていたナプキンをクシャと握りしめて黙ってしまう。

 先に席を立とうかなと思っていると、「どうかしたのか」と和泉さんから声を掛けられた。

「カッコ悪いとこ見せちゃってごめんなさい……呆れてますよね」

 臆病な気持ちで少しずつ視線を上げて戻すと、向かいの彼は不思議そうな表情をしてこちらを見ていた。

「意味が分からない。なんで落ち込んでいるんだ」

 意味が分からないって。人を落ち込ませておいて自覚無しだなんてヒドい。

 そんな妙な鈍感さをもった彼に少し腹立たしさを感じて言い返してしまう。

「い、今、和泉さん思いっきり溜息吐きましたよね? 昨日も何回かあったけど……私の失態見て、呆れてるんだろうなって。……すみません、次からは気をつけますから」

 けれど、和泉さんはますますキョトンとした表情を浮かべて、その後すこし考えてから「ああ」と納得したようにひとりで頷いた。

 
< 124 / 263 >

この作品をシェア

pagetop