月だけが見ていた
『主任とは結婚できません。』


そう言った直後

あいつは、俺の目の前で歩道橋から落ちた。



「……っ」



本当はわかってたんだ

葉子なりに俺を愛してくれていたこと。



『苦しめるだけの存在って事かよ』



あんな子どもじみた最低の嫌味が
葉子への最後の言葉になってたまるかよ



俯いた先の床に 涙が次々と落ちる。




……なぁ 葉子


戻って、こいよ。
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