月だけが見ていた
司くんは、静かに
でも確かな口調でそう言った。


「絶対ダメだ。それだけは」

「どうして」

「上原、」


言いかけた言葉が
司くんの瞳に吸い込まれるように消えていく。




「好きな人がいるんだろ?」

< 68 / 84 >

この作品をシェア

pagetop