“毒”から始まる恋もある

ちょうど視界の端で仲良さそうなカップルが顔を寄せあって話している。

なんとなくもったい感じの女の子。

化粧を変えれば多分もっと映えるのに。
隣の男がそこそこ整った顔してるだけに釣り合いが取れない。


「……性格が良ければとか、糞食らえだわ」


あんな女が一番嫌い。
磨けばもっと光るのに、自信のない顔して目立たないようにして。

好きな人が出来て両思いなら自信を持てばいい。
そして隣にいる男が恥ずかしくないくらいには自分を磨けばいいのに。

それでも、男はそういう子を選ぶんだ。

綺麗になる努力も、男に近づく努力も、私の方がしている。
いい年して短いスカートを履くのだって、自分の体の中で一番セールスポイントになるのは足だって分かっているから。

恥ずかしさが無いわけじゃない。
でも、使えるものは何でも使っていかないと。

それは努力でしょって私は思う。

なのに、心が綺麗ってだけでそれを全て奪っていくのよ、何の努力もしないシンデレラたちは。


「糞食らえ」


憎しみが声に出てしまったらしい。
周りのおっさんが数人私を見た。


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