“毒”から始まる恋もある


「誕生日おめでとうー!」


でかい声で言うなよ。

しかもそのタイミングで、ぐつぐつ煮え立った鍋とはあわなさそうなケーキを持った店員までやってきた。

いちごののったデコレーションケーキの上には、ご丁寧にろうそくが三本。
チョコプレートまでのっている凝りようだ。
しかも、書かれているのは、【HappyBirthDay Humie Kariya】


数を指定した奴は死ね。

三歳な訳ないんだからあからさまに三十歳って思われるじゃないのよ。
しかもフルネームだし?

店員にまで知れ渡ったじゃないのよ、刈谷史恵、三十歳が!


ああもういや。

女の三十歳の誕生日がどれだけ精神を病ませるのかわからないの?
彩音が誕生日の時までに彼氏と別れていたら絶対仕返ししてやるから。


しかし悪態をつこうにも、一応私をお祝いしてくれてる席なわけで。
仕方なく言われるがままろうそくを吹き消し、一番大きなケーキを貰った。

でもね、やっぱり鍋とケーキは合わないと思うの。
この店を選んだ奴も出直して来いって感じ。


そして、鍋がメインのくせにバースデーケーキを出すサービスするこの店もどうなの。

合わないから、味が。
さっきまでは高評価だったけど減点だわ!

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