気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「じゃあ、俺の部屋に来る?」
「は?」
「俺が凜香に手料理をふるまうよ」
「葛木くんが?」

 凜香はきょとんとして透也を見た。彼が料理をするなんて信じられない。

 透也が首を振って言う。

「そうじゃなくて、〝透也〟だ」
「へ?」
「呼び捨てにするって約束」
「あ、ああ……でも……」
「決めた。今日、俺をエスコートしてくれたお礼。途中でスーパーに寄ってくれよな」

 透也が言うなり凜香の右手を取った。

「えっ」
「ほら行くぞ」

 そうして凜香の手を引いて歩き出した。

「ちょっと待って」

 急展開に戸惑っているうちに、凜香は彼に引っ張られて駐車場に着いていた。

「もうメニューは考えたから」

 彼にそう宣言されて、弱みを握られている凜香はため息を飲み込み、仕方なく車のロックを解除した。 
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