気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
第六章 そのもっと奥の真実
「凜香、凜香ってば」

 何度も名前を呼ばれて、凜香は重たいまぶたをどうにか持ち上げ目を開けた。

「ん……何?」
「着いたよ」

 言われてフロントガラスの向こうを見ると、車は凜香のマンションの来客用駐車場に駐まっていた。

「あ、ごめん。送ってくれてありがとう」

 凜香はシートベルトを外そうとバックルに手をやったが、その手を透也に押さえられた。驚いて反射的に手を引っ込める。

「もっと話がしたかったのに、凜香、寝ちゃったんだもんな」
「あ……そう言ってたのに、ごめんね。今からでよかったら聞くわ」
「ここで?」

 透也に言われて凜香は瞬きをした。

「長い話なの?」
「……たぶん」
「たぶん?」
「部屋に誘ってくれないのかな」

 その言葉に凜香の心臓が大きく跳ねた。

「そ……れは話の内容によるわ」
「次の企画を考えたんだけど、アドバイスが欲しいんだ」
「わかった。でも、ここで聞く」
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