気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
 透也は小さく息を吐いて、ハンドルに右手の肘を乗せて頭を支え、凜香を見た。

「警戒してる?」
「どんな企画なの?」

 問いかけをスルーされ、透也は諦めたように口を開く。

「……凜香のソーラーカーを見て思いついたんだけど」
「うん」
「次の『こどもサイエンス』の付録、ソーラーラジコンカーはどうかな、と思って」

 凜香は少し考えてから答える。

「おもしろいと思う。でも、ソーラーラジコンカーなら『こどもサイエンス』より年齢層の高い『ふしぎ発見・冒険キッズ』の方がいいんじゃないかな」
「ほんと……に?」

 透也が瞬きをした。凜香は思わず口元を緩める。

「なぁに、また反対されるとでも思ったわけ?」
「正直言うとそう。さすがに〝ミミズ・コンポスト〟の案を課長に〝将来が安泰なヤツは気楽でいいよな。明らかな没案を思いつきでしゃべってもいいんだから〟って言われてから、凜香に今話すのも怖かった」

(透也くんでも怖いなんて思うんだ……)

 凜香は思いやりをこめて言う。
< 75 / 91 >

この作品をシェア

pagetop