私だって泣きたいこともある

珠洲の前に立つ私を突き動かすのは
正義感なんかじゃない。

珠洲のイジメが、沸き立つ不満への八つ当たりなら
今の私の行動もまた
 どうしようもない現実への八つ当たりだ。




「ララ、どういうつもり?」

「別に
 女王様にお許しを願っただけよ」


これで私は珠洲に目を付けられて
 そのうち退学に追い詰められるかもしれないな。



―― ママ

私…
 現役青扇学園生じゃなくなっても、
モデルとしてやっていけるかな…



もうどうでもいい

そう思った時、


ふいに珠洲の視線がチラリと動いた。


それと同時に私の手からペンケースを取った珠洲は
ツンと澄まして、取り巻きを引き連れて
その場から離れていった。



珠洲が見たものは何なのか振り返ってみると
そこにいたのは生徒会長の鈴木翼だった。
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