海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
【第1章】

始まり

「ドキドキがないなぁ…。」


そんな独り言を言ったのは、私、河原さく。

今日から“女子高2年目”の生活が始まったばかり。

胸下まで伸びた髪を二つに結んだ、ストレートロングがトレードマーク。


恥ずかしいけれど、今まで一度も彼氏がいない。

中学生の時、彼氏がいる友達が何人かいた。


“彼氏がいる”という事に興味はあったけれど、

いつまでも奥手だった私は

「さくと○○は両想いらしい。」

…と噂された事はあっても、

結局、告白する事も、される事も、付き合う事もないまま、中学校を卒業した。


私が通う高校は女子校で、男の子と知り合う機会が少ない環境にも関わらず、

なぜか高校1年生の途中から、彼氏が出来た子が沢山いた。


羨ましいはずなのに、友達の“誰か紹介しようか?”という厚意を断ってしまう矛盾。


恋のドキドキを求めているのに断るのはなぜかと言うと、

もしも、


『ちょっと違うなぁ。』


そう思った時に断りずらいから。

逆に断られるかもしれないけれど。


何より…


どうせならそのドキドキは、自分で見つけたい気がする。


身を焦がすように熱くて、幸せな恋。


『本当の恋を自分で見つけたい』

そう、思っていた。
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