海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
校門を出てから少し歩いた所で母の車を見つけると、


「お帰り。」

そう言って、母は私と一緒に車の中へ荷物を積み込み、


「疲れたでしょう?楽しかった?」

と、旅の感想を聞いてくれた。


「楽しかったよ。」


私は笑顔で旅行中の出来事を話した。



母には言えないけれど、相葉先生が京都のホテルで頭を撫でてくれた温かい手や、外で見回りをしてくれた事。


二人並んでディズニーランドのパレードを見た事…。


幸せに感じた出来事を思い出しては、温かくて幸せな気持ちになった。



けれどその反面、


『パレードを見ていた時の告白は伝わったのだろうか。』とか、

相葉先生がキタムラで買い物をしていたという話を思い出して、


『先生は今日も大崎先生と会うのかもしれない。』

と、不安の連鎖に駆られていく。



『先生との楽しい思い出を作りたい。』


旅行に行く前は、こんな期待でいっぱいだった。


幸せに感じることもあったけれど、帰ってきた今となっては


『きっとこれから先も不安と幸せの繰り返しになるんだ。』


そんな確信にも近い想いがあったんだ。
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