極上な恋をセンパイと。

「お前さ、食い物の話になると貪欲だな」


そう言って、クイッと口の端を持ち上げたセンパイに、さらに顔が火照っていく。

だから、思わずムキになって反論してしまった。



「ち!違いますよ。あたしはただ、センパイの事が知りたくて……っ」



……あ。

勢い余って、口から出た言葉に自分自身が驚いた。
キョトンと、目を見張るセンパイ。

でも、それは一瞬で。
すぐにいつもの意地悪な顔に戻ると、まるで挑発するみたいに笑われた。


ドキ!


「ふーん。俺の事が、ねえ」

「……、……あの、今のは別に……」

「なんだよ?」

「う……」


頬杖をついたまま、あたしを覗き込むセンパイから、逃げられる気がしない。

もう何を言っても墓穴を掘ってしまう気がして、あたしはただただセンパイのその視線に耐えるのが精一杯だった。



「佐伯は、変わってんな」



あ、それ……パリに行った時にも、言われました。



「……久遠センパイ程じゃないです」

「そーか?俺変わってる?」

「無自覚ですか……」





センパイが知りたい。

この気持ちはホント。 



あたしは、自分が思っているよりもずっと……



センパイの事……。




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