極上な恋をセンパイと。
ずるい質問

ガラス張りのオフィス。

そこから差し込む太陽の日差しはとても穏やかで、キラキラした粒子と一緒についでに眠気も連れてきた。


うーん……、眠い。
ダメだな、集中力切れちゃった。

小さくため息を零す。

ちらりと時計を見ると、6時を回ろうとしていた。

ずっと資料作りしていて、気が付かなかった……。


ちょっと休憩しよう。

バッグからお財布とスマホを手に取ると、椅子から立ち上がった。


今、オフィスには、あたしだけ。
真山くんと柘植さんは宣伝部との会議に参加してる。
課長は、確か午後からは海外担当との打ち合わせがあると言っていた。


お財布を両手でしっかりと抱えながら、ふと視線を落とす。
そこは、自分のデスクの左側。

久遠センパイ……、月曜には戻れるって言ってたよね。
もし予定通りなら、今日……会えると思ったのに。

その月曜も、すでに終わりを迎えようとしていた。



「今日はもう、帰ろうかな……」



もう少しで終わるけど、それでも確認してもらうのは明日の午後だ。

久しぶりに、帰ったらゆっくりお風呂にでも入ろう。
友達がハワイに行って、アロマの入浴剤を買ってきてくれたんだ。

うん、そうしよう。


少しだけ心が軽くなって、あたしは再び椅子に腰を下ろすと、帰る準備を始めた。



と、その時だった。




――――ギイ


オフィスのガラス扉が開く音がした。

つられるように顔を上げると、そこには――――。



「あれ、佐伯。まだいたのか」

「あ、く、久遠センパイ」



肩にスーツを引っ掛けて、脇にノートパソコンを抱えたセンパイ。
その表情は、少し疲れた顔をしていた。

そのまま自分のパソコンの前に座ると、すぐさま起動させる。

鞄を乱暴に足元におくセンパイを、ジッと見つめていると、そこでハッとした。



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