幸せの契約
「おーい、平瀬。
三番オーダー上がったぞ。」


シェフに言われて私は厨房に顔を覗かせる


「シャケとホタテのカルパッチョにポテトミントサラダ。オッケーです。」


私は料理をもって客席に運んだ



ここは結構人気のイタ飯店

入って半年


最近は仕事も覚えて
それなりに余裕を持てる


「平瀬!平瀬鈴(ひらせすず)!!」


私を大声で呼ぶ声



「はーい。」

厨房脇の食料庫でオーナーの坂巻さんが手招きしている



「なんですか?」


「バジルが切れたんだ。ちょっと買ってきてくれ。」


そう言って渡されるお金


「はい。」


私はそれを受け取って
サロンを脱ぎ、ワイシャツの上にジャケットを羽織った
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