砂漠の王と拾われ花嫁
やっと熱が下がり始めたのは2日後だった。


その間、ラシッドは見知らぬ娘を心配したが公務が忙しく、召使任せにしていた。



娘を他の部屋に移すようにアーメッドが頑(かたく)なに言うのでまもなくラシッドの隣の部屋に移された。



時間が空くのは夜遅くだが娘の部屋に入るとまだ眠ったままだった。



* * * * * *


ラシッドは夜更けに娘の部屋に入った。


「ラシッド様、娘が先ほど意識を取り戻しました」


召使に言われてラシッドが寝台に眠る娘を見た。


娘の呼吸は楽になっていた。


「なぜ、知らせない?」


ラシッドは怒りをあらわにした。


召使は絨毯に膝を付き、頭を絨毯にこすり付けるように下げた。


「も、申し訳ございません すぐに眠ってしまわれたので」



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