砂漠の王と拾われ花嫁

いない夜

「さあ、姫様、マハルが待っております」


アーメッドの言葉に振り返るとマハルが少し離れた所に立っていた。


「わかったわ・・・気をつけていってらしてね?お兄様」


寂しそうに頷いた莉世はとぼとぼといった感じの足取りで帰って行く。




「殿下は姫様に甘すぎます」


莉世の姿が見えなくなった後、アーメッドが言う。


「それは仕方ない リセには誰もが甘いだろう?」


お前を除いてな?


莉世を傍に置くと決めた時からアーメッドは気に入らない。


「さあ、日が落ちる前に戻りたい 行くぞ?」


ラシッドは手入れの行き届いた艶やかな黒毛のガラーナに颯爽とまたがった。




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