砂漠の王と拾われ花嫁

狙われた姫2

初めて会って4年近くになるが、莉世はこの大臣が生理的に嫌だった。


「お一人ではあぶのうございますよ?」


そう言って一歩づつ近づいてくる。


今にも舌なめずりしそうな大臣の自分を見る目つきは気持ち悪い。


「も、もう部屋に戻ろうかと思っていた所です」


大臣が近づけば無意識に後ずさってしまう。


「それはそれは、殿下がおられないので寂しいのであろう」


タヒール大臣の指がまだ編みこまれていない莉世の髪に伸びる。


あからさまに逃げる事ができず莉世の身体がこわばった。



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