Magic Academy ~禁書に愛された少女~
アッシュの言葉に、そらはドキッとする。

「話って?」

とぼけるそらを、アッシュはただじっと見つめた。しばらくして、アッシュは軽く首を振ると、微笑んで呟いた。

「ううん、なんでもないや」

アッシュはぎゅっとそらを抱きしめ、手を離した。

(うまく仲直りできたな)

シークの声が聞こえると、そらは少しふっと微笑んだ。

「戻ろう、アッシュ」

そう言って、そらが手を差し出すと、アッシュは少し照れながら、その手を取った。


仲良く手をつないで戻ってきた2人を見つけて、うみとドルイドは安堵の表情を浮かべた。

「まったく…心配かけんなっての」

軽くうみがそらの頭を小突くと、そらは苦笑いを浮かべながら謝った。

「ごめんね」


いい友達ができた。学校に入る前までは、魔法がまともに使えなくて、みんなから疎まれて、邪魔者扱いされてた。お父さんとお母さんだって、私がもっと魔法が使えたら。今でもまだ、生きていたかも知れないのに。

ふっと昔のことを思い出した。そらは、ぶんぶんと頭をふった。

「どうした?」

ドルイドが心配そうに聞いてくる。そらは慌てて、なんでもない、と答えた。


本当に、いい友達ができた。魔法が使えなくても関係ない。一緒にいて、笑って、落ち込んだら心配してくれる。


そらはとびっきりの笑顔で、3人にお礼を言った。

「ありがとうね!」
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