蝶々結び
夏休み分の荷造りとなると、バッグがパンパンになった。


毎年の事とは言え、母の田舎に帰省するのは大変だった。


夏休みの課題、大量の服、日用品…。


向こうでは買い物に行くのも大変だから、必要な物は出来るだけ持って行く。


膨らんだバッグを見ながら、少しだけ憂鬱になっていた。


祖父母の事は好きだし、何も無い田舎でもやっぱり遊びに行くのは楽しい。


田舎に行けば、近所の人達も可愛がってくれる。


子供はほとんどいないけど、あたしと同じように田舎に行く同年代の子達と会えるのも嬉しい。


だけど…


お祭りの事を考えると、どうしても憂鬱になってしまう。


あたしはあからさまに大きなため息をついて、自分の部屋に戻った。


田舎で過ごす夏休みは、本当に長く感じる。


明日から、あたしにとって長い夏が始まるんだ――。


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