%コード・イエロー%

沈みかける気持ちを、なんとか維持しようとしたけど、

やっぱり、ここには、何もなかった。


見えるのは、大部屋を個別に仕切るクリーム色のカーテンと、白い天上。

スリッパに、点滴のチューブ。


そうして、目は自然と窓を向く。

晴れた、水色の空に、雲の白が対比して、綺麗だ。

雲も、太陽に光って白く輝く部分と、陰になって灰色に見える部分があるんだって、

このとき気づいた。

雲を観察するなんてこと、普段はないもの。



・・私はきっと、あの一番濃い灰色の部分なんだろうな。



立場の弱い人間は、

どこまでいっても、そこから抜け出せないんだろうか。


いつの時代も、踏みつけにされて、

それでもあがいて、生きていかなければいけないのか。


姉も、立場の弱い人間だから、

殺されても文句を言っては、いけなかったのか。


何回同じように疑問を投げかけても、

雲は、何も答えてはくれなかった。






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