私の秘密の旦那様
「…秋本、そんな真顔で言われたら本気にするぞ?

ふ、皆泣く…か。泣いてくれる人なんかいないだろうけど(笑)」

…完璧、冗談だと思われてる。

“本気だもん。私は先生が好きだから。”

…と、こんな簡単な言葉さえ言えない私は本当…意気地無しだと思う。
まぁ、これを言ったらさすがに私も生徒って立場だからヤバいんだけど。

「まぁ、いいや。
二人とも教室閉めるから早く出なさい。」

「え―……。」


ねぇ、あなたはこの時…
どんな風に思って、私の話しを聞いていたの…?

私は…お見合いが、あなただったら…どんなに幸せか。って思ってた。




今さらだけど、私は秋本渚(アキモトナギサ)

今回なんと10回目のお見合いをこれから強制的にさせられます…。


それも、私よりも10歳年上の人と…。
しかもちょうど、先生と同い年。

私の家はもともと代々、茶道の家元をしていてその家系の女の人は16歳になったらお見合いをして、結婚するという……しきたりになっている。

まぁ……しきたりといっても形として、というわけで…。
最後に決断を出すのは、私自身なんだけどね…。
一応、意思は通るから。

だがら、お見合いをして受けるか断るかは選べるけれど…

お見合いを断ることは…出来ない。

しかも今回は、
なんとお父様とお母様の古くからの友人の息子で前みたいに簡単には断ることができない…。

……だけど

私は担任の横峰先生のことが好き…。
例え……それが実らない儚い恋であったとしても。


どうしよう………。

…今回は、どうやってお見合いを断ろうか。

相手に嫌われる様な態度でいてみようかな…。

でも…そんなことしたら秋本家の名が傷つくし……。


本当………

どうしよう………。

私はどうすれば、いいのだろうか……。

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