私の道 ―(実話)―
「その時計、かわいいね~」

「うん、大ちゃんにもらった」



あれから、ずっと身に付けている。

これを付けていると
陸の存在が薄くなっていくような気がした。


これでいいんだ

このまま
忘れていけばいい。



「い~な~、ラブラブなんだね」

「ナッチの方は?」


「うん…今は会ってないんだ、まほちゃんがノイローゼみたいで治るまで私とは会えないって」


「そっか…」


それ以上、何も言えなかった。

ナッチが自分から話してくれるまで
聞いちゃいけないような気がした。




靴箱に手をかけたナッチの表情がこわばった。




手が震えてる。


な…に……!?
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