AEVE ENDING



「それはそうね」

私の不満を素直に聞き入れてくれたアミは、トロピカルジュースを啜りながら思案げに天井を仰いだ。

長い睫毛がぱちりと瞬いて、やがて名案が浮かんだと叫ばんばかりに笑う。

「よし!今日は私も居残りに付き合ってあげる!部屋に帰ってからも、一緒に特訓しよ」

持つべきものは友達って言葉、誰が考えたのだろう。
今の私の心境が、まさにそれだ。
寧ろ彼女しか要らない。

正直、テレパスだかマジックだかのサイコキネシスには興味がないし、使いこなすつもりも周囲の嘲りに対して悔しいという感情もない。

(ムカついたらぶん殴るだけだし)

けれどアミは、私なんかの為に一生懸命になってくれる。
でへへ、美しく温かな友情に乾杯。なんて。




―――この時の私は、まだ知らなかった。

東部箱舟との合同授業で、私にもたらされる、今世紀最大最悪の不幸を。


…知る由が、なかった。




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