KISS OF LIFE
今、あたしのことを“彩花”って…。

「呼んだよ?」

ダメなのか?とでも言いたげに、南野課長は首を傾げた。

いや、ダメって言うほどでもないけど…。

「あたしたち、昨日つきあい始めたんですよね?」

「ん、そうだよ?」

つきあい始めとは言えど、いきなり呼び捨てですか?

「恥ずかしいの?」

南野課長が顔を覗き込んできた。

「ひゃっ!」

あたしは思わず後退りをした。

いきなり顔を覗き込まないでよ!

心臓がバクバクと鳴っている。

あたし、大丈夫か?

それよりも、
「遅刻する!」

あたしは南野課長に背中を見せると、逃げるように改札口をすり抜けた。
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