KISS OF LIFE
「いや〜、堺彩花も現実の恋に目覚めましたか〜」

「ちょっ…ちょと待て!」

あたしは七海の手をつかんだ。

「あのさ、誤解だから!」

あたしは言った。

「誤解って、一緒に帰ったんでしょ?」

「帰ったけど、あれは課長が送ってくって言って、途中まで送ってもらっただけなの!

だから、何でもないの!」

七海の手を握りながら、あたしは話をした。

「要は課長の一方的。

悪く言うならば、勝手な上司命令」

「堺」

「あぎゃっ!」

後ろから名前を呼ばれ、あたしは怪獣みたいな悲鳴が出た。

また、あたしは社員の皆様方の注目を受けた。

ああ、視線が恐ろしいくらいに痛い…。

泣きそうになりながら振り返ると、
「か、課長ー!?」

胸のあたりで腕を組んでいる、南野課長がいた。

あ…あたし、駅ンとこにほったらかしにしたんだ!

忘れていた事実に、血の気がサーッと引いた。
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