なんでも屋 神…第一幕
時刻は朝九時を過ぎたばかり。随分前に一つ目の県を越した俺達は、朝日の眩しさを徹夜の瞳に感じながら車を走らせていた。



お互い、疲労と供に口数も減ってきた。



今の二人を支えるのは、依頼を無事にこなすと言う事ばかり。



俺が一ノ瀬の第二の生活を選んだのは、人口もさほど少なくない街だった。



人口は凡そ三万五千程度。市になって諸々の諸経費が出るのを拒み、今だ街として機能を続けているしみったれた街。



ド田舎は隣近所の付き合いが多すぎて、夜逃げの三人家族には向かない。



アコードを夜中中飛ばしてやっと着いたその街は、活気もなければ寂しさも感じさせないような寂れた街。



一晩中タクシーを乗り継いだ一ノ瀬は、もうアパートに着いているだろう。




初の夜逃げ依頼も、無事終焉を迎えようとしていた。
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