至近距離恋愛 -Hero-
「とにかく、今からデートやからもう行くし!」


「おう……」


苛立ちながら告げると、雷は不服そうな顔で返事をした。


「何なん?」


「何が?」


「だって、何か言いたそうな顔してるやん……」


「別に……。ほら、早く行かな遅刻すんぞ!」


「あっ、ヤバッ……!じゃあ、あたし行くから!帰るなら鍵閉めといてよ!」


急かされたあたしは、時計に視線を遣りながら言った後、雷の返事も聞かずに慌てて部屋を飛び出した。


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