レンズ越しの君へ
不安を抱いたまま季節は春を迎え、廉と付き合ってから4ヶ月以上が過ぎた。


その間に、あたしは彼と一緒にいても少しずつ満たされなくなっていった。


たかが名前かもしれないけど、あたしには大きな不安要因だったから…。


廉からは何度もキャバを辞めるように言われたけど、どうしても辞める事が出来なかった。


一人でいると、廉に対する不安や寂しさに負けてしまいそうで…


心が満たされないあたしは、また店でしか自分の居場所を見出だせなくなっていたんだ…。


あたしがキャバを辞めない事に不満を持っている廉は、機嫌の悪い日々が続いていた。


せめてもの救いは、彼が毎日のようにあたしを抱いてくれる事…。


その時だけは、不安が掻き消された。


だって…


あたしは廉に抱かれる事でしか、彼からの愛情を感じる事が出来なくなっていたから…。


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