crystal love
そんな会話をしながら、
グラスとスコッチを用意する。

何度も食事を共にしている為か
暗黙の了解の分担作業で、
アルコールが、グラスに
用意されていく。

「ディオナのグラス、
そこに置いてるから。」

父母にグラスを運びながら
ジェイドは言う。

「ありがと。」

なんだか、騒がしい胸と
やたら渇いた喉を治める為
一口含んだ。

「何これ?!ジェス!
薄めすぎじゃない!」

「ディオナは、弱いんだから
そのくらいで調度いいよ。」

彼は、素知らぬ風にいって
ソファーに腰掛ける。

「あら、ディオナ。
飲めないなら、冷蔵庫に
ジュースがあるわよ。」

母からも、合いの手が入る。

「ちゃんと飲めるわよ。
オーバーなんだから。」

中国茶の様な味わいの
グラスを持って、母の隣に
腰掛けた。

「ずいぶん、仲がいいな。
この二人は。
ジェスから、聞いているがね。」

「!!?」

何言ったのよ?この子?!
ろくでもない事を
言っているのは
この表情で、諸わかりだ。

「ジェス?」

言葉短に問うてみたけど。

「特に何も言ってないよ。」

やはり、嘘臭い台詞が
戻ってきただけだった。


 

< 89 / 170 >

この作品をシェア

pagetop