狂愛ラバーズ
あまりの痛さに、声が漏れてしまう。





目を開けてるのが怖くて、きつく目を閉じる。





定規で叩かれる痛みじゃないものを感じ、うっすら目を開けると腕に黒い革靴が乗っていた。





「―――っ、きゃっ、痛いっ………いゃあぁぁぁぁ。」


「煩いっ!」


「ゲホッ……ウッ……ゲホッ、ゲホッ…。」





靴の先端でお腹を蹴られ、吐いてしまいそうになる。





咳き込むのも煩かったのか、何度もお腹を蹴られ痛くて苦しくて、呼吸するのも辛くて、体を動かし仰向けになったところで、お腹を踏みつぶされた。





今までの痛みなんて非じゃなかった。





お腹が焼けるように熱く、蹴られたところがジンジンと痛む。





「制服を整えたらさっさと帰れ。補習は今日までだ。」





コツコツと床を鳴らして歩く音。




ガタンと閉められたドアの音がなんだか虚しくて、残された準備室は無音だった。





早く帰らないと…早く起き上がらないと……そう思うのに、体はいうことを効かなくて力が入らなくて……。





会いたい……海斗さんに会いたい。




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