reverse【完】
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美咲には言わないという約束


俺にはそれ以外
家庭を壊さないで済む方法が
見当たらなかったんだ



「課長、この後どうします?」


会社にいる時より3割増し化粧の厚くなった
エミに視線を合わせる


「……この後?」


「えぇ。早く、課長に抱いて欲しいです」


そう言ったエミの口が妖しげに緩む


最近の若い子は
こうも直球に誘ってくるものなんだろうか…

それとも、自分に自信がある
エミだからなのだろうか……



「悪いが…もうあんなことはしない」



今日は、それをハッキリ告げるために誘いに乗った


「…どういうことですか?」


「責任…君の言った通り、付き合うよ。でも二度と君を抱く気はない」


直球には直球を…


「…そうですか」


そう言って目を伏せ何かを考えるエミ


「分かりました。でも条件があります」


「……条件?」


「えぇ。一つは私のこと、名前で呼んでください」


「名前?」


「佐伯…。ではなく、二人のときはエミと」


それが何だというんだ

「エミ…ね」

「はい!嬉しい!」


喜ぶポイントが分からない


「それから…」


グラスに注がれた赤い液体を一口飲み
俺を見つめてエミは言った



「週3回、日付が変わるまで私と一緒にいてください」








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