依存~愛しいキミの手~
狭くタバコの匂いのこもる部屋。


ソファーに腰を落とし、足を投げ出しながらタバコに火をつける。


白い煙りと歌本をめくるパラパラという音だけが部屋に響いた。


パタンと美香が歌本を閉じテーブルに置いた。


タバコを灰皿にトントンと落とす。火玉をくるくるやり形を整える。


なんとなくそれを見つめる私。


美香の手が止まった。そして私に視線を向けた。


「圭介とさ……何かあった…?」


美香の顔も口調も真剣だった。


その気迫に押されて、戸惑いながら答えた。


「何か…って?」


美香がタバコをゆっくり吸い込み吐き出して、一呼吸置いてから言った。


「あすかさ、圭介の過去のこと何か聞いた?」


え?過去…?


「あ…少年院入ってたことを軽く…。何で?」


さっきの質問と今の質問の繋がりが全く分からず、思わず聞き返した。


「圭介が年少入ることになった理由聞いた?」


「色々悪いことやった程度に。問いただされるの面倒で、やってもない罪被ったって笑ってたよ。」


美香はため息混じりにタバコの煙を吐き出した。


「…私が話していいことなのか分からないんだけど、多分圭介はあすかのこと気に入ってるからさ。あすかも圭介のこと気に入ってるんでしょ?」


え!?


突然の指摘に顔が赤くなった。


やっぱり気に入ってる…の…かな…?


「あははっ、かわいい!見てたらすぐ分かったよ」


そう笑いながら私の背中を叩いた。
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