依存~愛しいキミの手~
ハンバーグを頬張ろうとしていた美香が、フォークを鉄板に置いた。


「圭介と優がバイト同じで、それの繋がり」


「バイト…って今のホスト?」


「ううん。優と初めて会ったのは、去年の春だったからまだ2人ともホストはやってなかったんだ。
ガソスタで働いてたんだよ。で、少しして圭介がホスト始めて、最初は掛け持ちしてたけど、やっぱりしんどいからってホスト1本にしたみたい。」


へー。ガソスタかあ。


「で、しょっちゅう優まじえてみんなで遊ぶようになって仲良くなったんだ。
…でね、冬になって私と優が付き合ってすぐに、…優のお母さんが癌になって入院しちゃったの。」


癌…。


「優の家小さい頃に離婚して母子家庭で、私より1つ下に妹がいるんだ。お母さん…末期癌だったの。だから優は高校中退して、治療費と生活費稼ぐために圭介の店で働くことにしたんだ」


美香の言ってた優がホストで働く理由ってそれだったのか。


優ってすごく明るいけど、複雑な事情抱えてるんだ…。


「でね、優のお母さん…今年の3月に亡くなったんだ」


!?


「妹は親戚の家に預けるってなったんだけど、妹がものすごく嫌がったから今は2人暮らし。保険金は妹の大学の学費と結婚費用に当てるって父親みたいなこと言って、今の生活費と自分の通信の学費稼ぐのに頑張ってるんだ」


美香が優しく笑いながら話してくれた。


「…優ってすごいね…偉い」


「優ね、中退しちゃったけど進学校通ってたんだよ。意外だけど頭いいの(笑)」


そう笑う美香に、私は戸惑いの表情しか返せなかった。
< 52 / 441 >

この作品をシェア

pagetop