依存~愛しいキミの手~
化粧を終え、圭介に電話をかける。


「も、もしもし?」


緊張しすぎて声が裏返った。


隣でタバコを吸っている美香が小さく笑う。


「おー、準備できた?今優の家にいるから今から行くな」


マンションの前で待ってる2人が歩いてきた。


優の家は美香の家から歩いて5分くらいの所にあるらしい。さゆ姉が優の妹の面倒も色々見れて助けられるからって近所に越させたみたい。


駐車場に行き、ワゴン車に乗った。さゆ姉が運転。


「三鷹でいい?」


さゆ姉が美香に確認し、走り出した。


少ししたら駅前に着き、駐車場に停める。


「じゃあ、6時半くらいに新宿行くから」


そう言って美香たちは手を振って歩き出した。


うわぁー、2人きりだ。


そう思うと、緊張がさらに増す。


心臓がドキドキを通り越し、バクバク鳴り響いて圭介の顔が見れなかった。


「何また下向いてんだよ(笑)」


圭介は頭をくしゃっとやって言った。


私も普通にしなきゃ、普通に…普通に…


「今5時前だから、後1時間半くらいか。じゃあ新宿で飯食った方がいいな。電車乗るぞ」


と、圭介は駅へ向かって歩きだした。


私も小走りして圭介の隣に並んだ。


オレンジ色の電車に15分ちょっと。


新宿駅についた。


駅の中は土曜の夕方と言うこともあってごった返している。


てか新宿駅って広いんだなぁ…。


初めて来た新宿の駅にキョロキョロしていたら、圭介が手をつないできた。


「よそ見ばっかしてるとはぐれるって(笑)」


昨日だって何度もつないだのに、…どうしてこんな鼓動が早くなるんだろ…。


「飯、何食いたい?」


人ごみをかき分け歩いていると、圭介が聞いてきた。


「うーん…。昨日結構飲んだから、さっぱりしたのがいいな」


全然何ともないふりをして、圭介に笑って言った。


「俺も。焼き肉とか言われたらどうしようかと思ってた(笑)じゃあ刺身にでもするか」
< 65 / 441 >

この作品をシェア

pagetop