濡れた体温ごと奪って


「…なぁ。六年の間、お前は充実した日を送ってたのか?」


「…う、うん」


「…そうか」


「ご、ご馳走様。私、そろそろ帰るね。またね、翔ちゃん」




紅茶を飲み終えると、私は徐に立ち上がり急ぎ足で部屋を出た。


六年の間…本当は…充実なんてしてなかったんだ…。


翔ちゃんと話していたら…今までの事何もかもを話してしまいそうで…。


それだけは嫌なの…。


絶対に…知られたくない。



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