流華の楔



経験上、芹沢の命が残り少ないだろうということを察知していた。




近藤や土方が彼らを見る目や、見張るような動き。



民衆の反感。



容保が漏らした言葉。





それらすべてを推察すれば、出てくる答えは一つ。












“暗殺”だ。








「なーんて。言ってみただけです。私は尊敬してましたよ、あの方を」



明るくそう言うと、新見はほっとした顔をする。



「あはは。そうですか……すみません、野暮なこと聞いてしまって」








これが、彼の笑顔をみた最後の瞬間だった――。


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