【短編】プロポーズはバスタブで。
 
そうしてあたしのワガママで次のデートの行き先が決まり、その日の電話は終わった。

最近残業が多いというのも、これまた真っ赤な嘘。

少しくらいは残業になるけど、疲れ果てるほど過酷じゃない。


「嘘つきだなぁ、あたし・・・・」


携帯をベッドに投げて、その横に自分の体も投げ出す。

ホント、いつからこんなに嘘がつけるようになったんだろう。

いけないことだとは分かっていても心が暴走を始めてしまったの。

振り払っても振り払ってもますます疑惑が深まって、どんどん不安が募っていって・・・・結局、孝明に嘘をついた。


「はぁぁぁ〜」


ため息だって重くなる。

あたしの孝明への気持ちってこんなものだったのかな・・・・って、布団に潜って目を閉じても、そんな自己嫌悪ばかり。


その夜、目が冴えて眠れなかったあたしは、朝までパソコンと格闘することになった。

自分で撒いた嘘の種。

観てもいいかなと思う映画を探すために、一晩中、四苦八苦した。








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