薬指~未来への誓い~

けれど…

真吾に伝えたい言葉はあったんだ。






入場の扉が開かれたとき、私は真っ直ぐ前を向いたまま真吾に声をかけた。



『笑うから。私、最後まで笑うから、この式が終わったら私と…別れてください』



私の声は音響と拍手にかき消され、腕を組む真吾の耳にやっと入るくらいだった。





真吾は驚きのあまり、私の方を一瞬見たけど、私は真っ直ぐ笑顔で前を向き続けた。



もうすでに入場の時。
真吾もこれ以上足を止めれず両親の前へと二人で歩みよる。




二人足並みそろえて歩みだす。





私は真吾の隣にいる感覚すら麻痺してしまいそうだったよ…。





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