薬指~未来への誓い~
私に責め続けられ、私にかける言葉も見つからない真吾は…ただ黙っていた。




『…ごめんね、真吾』


私は立ち上がり冷蔵庫へ向かう。




『あ…水ないや。コンビニ行ってくるね』

『……いいよ、俺が行く。倖知は休んで待ってて』


真吾も立ち上がり、茫然自失のまま靴を履く。




『頭…冷やしてくる』


真吾はそう言うと玄関の扉を開け出ていった。


バタンッと扉が閉まる音が、渇ききった私たちの心の中まで響きわたった気がした………。









こんなはずじゃなかった…


こんなはずじゃなかった………



そんな想いだけが次から次へと溢れだして


真吾がいなくなった部屋で、1人ただ座りこみ嗚咽に近い泣き声で泣きながら


お腹に手をあてながら精一杯、この押しつぶされそうな現実の中で、“私”でいることを保つことしかできなかった。



狂乱も出来ないまま
ただ、泣き続けていた。


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