軽業師は新撰組隊士!



楓は刃を鞘に収めて、目を閉じる。


「初めての市中見回りか。」


少しだけ、と思い、楓は目を瞑るが、いつの間にか規則正しい寝息が聞こえてきた。


―――――――…



「か…で。…楓!」


「は、ハイッ!」


耳元で大声で名前を呼ばれて、楓は文字通り跳ね起きた。

声をかけてきた人は、沖田だった。


「もう見回り始めますよ?」


「えっ!?も、もう夜ですかっ!」


襖の向こうは、確かに暗い。
どうやらグッスリ眠ってしまっていたらしい。

楓は慌てて身支度をする。
といっても、腰に脇差しをさして、頭に鉢金をつけるだけなのだが。


「さぁ、楓。行きましょうか。」


「ハイッ。」


楓は屯所を出た。




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