軽業師は新撰組隊士!




紐の両端をグッと引っ張り、


「うん、よし。」


これで見た目は幕末の人と同じだ。

そして、もう一人の男の持ち物から、脇差しだけをとる。



「刀は武士の命っていうから……脇差しだけ貰っていくよ。ナンパしたのはコレでチャラね?」


そう言って、楓は歩き出す。

脇差しを腰にさして。





薄暗かった道は、もう真っ暗になっていて、その道を一歩一歩進んでいき、闇に紛れて見えなくなった。





「……ミャー。」



そして、一匹の黒猫が、ひっそりとそれを見ていた。






< 11 / 250 >

この作品をシェア

pagetop