軽業師は新撰組隊士!



すると、土方は少し顔を背けて、言った。


「心配もそうだが…その、悪かったな。」


「え?」


「隊士になりたいと言ったのはお前だが、それを決定したのは俺だ。」


「…はぁ、そうですね。」


それが今の状態と関係があるのだろうか、と思う。

しかし、次の言葉で察する。


「人を…斬ったんだろう?」


「―――っ!」


つまり、土方は“お前を隊士にしなきゃ、人を斬ることもなかった”と、それを詫びている。


(なんて…。)

優しくて、悲しい人だろう。



「ねぇ、土方さん。」


「あ?」


「私ね、自分で決めたんです。ここで生きることも、隊士になることも、――人を斬ることも。全部、自分で決めたんです。」


――だから、お願いです、土方さん。


「だから、全部を背負わないでください。」



土方は目を見開く。




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