Dear my Dr.
突然の予定変更に、周りの人たちは驚いている。

そりゃそうだよね。

留学するからって、それを期に結婚したのに。

“ダンナさんは元から美波を連れていく気なんてなかったんじゃないの?”なんて言われる。

そうじゃないよね?

だって、“付いてきてほしい”って、それがプロポーズの言葉だったのに。

悠ちゃんが留学したいっていうのも、ずっと前から聞いてた。

もしそうなったら、私は付いて行きたいって、ずっと思ってた。




「そうかぁ…美波行かないんだ。私は嬉しいけど、複雑だよね」

幼なじみの仁美が言った。

今日は、ふたりでランチ。

昨日急に電話して、それでも付き合ってくれる仁美。

誰かに聞いてほしくて、でも、こんな複雑な事情を話せるのは仁美しかいない。

ホント感謝だよ。

「私は美波のダンナさんのこと、よく知らないけどさ。でも、美波はよく知ってるでしょ?」

「…知ってる、つもり」

「美波が選んだ人だもん。きっと良い人だろうなって思う。急にそんなことになったのは、事情があるんだよね?」

自分で言い聞かせてた。

理由があるけど、まだ私には話せない時期なのかも…って。

それを、改めて仁美が言ってくれたことで、少し安心。

そうだよね?

悠ちゃんを信じてる。

「ありがと。ちょっと元気でた!」

「そ?よかった。昨日電話してくれたとき、美波落ち込んでそうで心配したよー」

「うん。でも仁美が聞いてくれて、スッキリしちゃった。さて、デザートなに食べる?」

「美波さっき、食欲ないー、って言ってたじゃん?」

「急にお腹すいてきちゃった!」
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