同窓会
「俺の知ってる片桐のままでいて欲しいって、俺の我儘だけどずっと思ってた。」

そう言ってもらえることが堪らなく嬉しくて、思わずにやけてしまう。

私は全然変わってないよ。

3年経ってもやっぱり大石くんが好きで、大石くんの言葉・態度でいくらでも嬉しくなったり悲しくなったりするんだ。

「なに笑ってんだよ。」

大石くんは不機嫌そうに言う。

「大石くん、よく喋るなぁって。」

大石くんは口数の多いほうだけど、私との会話がこんなに続いたことはなくて、饒舌な大石くんが新鮮に感じられたんだ。

「言いたいこといっぱいあったんだ。3年間ずっと伝えられなかった気持ち。まだ言い足りない。」

そう言う大石くんの目は、さっきの真剣な目に戻っていた。

「もう俺から逃げるの禁止。」

大石くんの手が伸びてきて、抱きしめられた。

体全体から伝わってくる熱に、私は何も考えられなくなった。

ただ体が熱くて、心臓がドキドキしている音と、大石くんの息遣いだけを感じていた。
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